この症状は何の始まり?中年医師のウェブ手帳

気になるその症状で何が考えられ、どうしたらいいかの覚え書き。専門は産婦人科・内科・アレルギー科です。

パッチテストをした場所が何度も腫れて痒くなる理由と対策

   

髪染め薬で引き起こされるアレルギーについて、話題になっていますよね。

厚生労働省からも、髪染め液の使用前に、腕などでパッチテストを必ずするようにという指示が出ています。

それで腫れたり痒くなるようなら使用を中止しなさい、というものですね。

 

で、パッチテストをしたらしたで、多少の問題があります。

それは、その場所が何度もぷっくら膨らんで痒くなるという現象がまれに起こることです。

よく考えると悪いことではないのですが。

 

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パッチテストをした場所が、ときどき腫れて痒くなる人

 

パッチテストをすると、テストした場所の皮膚が、赤くなったり、痒くなったりします。

典型的な人では、蚊に刺されたようにぷっくら腫れて痒くなることもあります。

 

以前の記事で書いた、

同じ場所が蚊に刺されたようにぷっくら腫れて痒くなる

その反応とも似た状態になります。

 

パッチテストで調べる内容と言えば食物アレルギーのそれが多いですよね。

お子さんがどうも複数の食物に対するアレルギーみたいだ。

いったいどの食べ物が良くてどの食べ物がダメなんだろうか?

 

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そう思ったときに小児科や皮膚科で調べるために、それらの物質を薄めた液を皮膚に塗って、その反応を調べます。

ところがその検査した場所が、何か月もたってるのにいきなりぷっくら腫れて痒くなることがあります。

そのときにはその物質をそこに塗っていないのに、なぜなんでしょうか?

 

 

パッチテストの仕組みとぷっくら腫れて痒くなるメカニズム

 

まず、パッチテストの仕組みを説明しておきますね。

パッチテストというのは、自分がアレルギー反応を起こすかもしれない物質を

ごく少量、皮膚に塗ってみて、アレルギー反応が起こるかどうかを調べるテストです。

 

その場所が塗ったとおりに赤く腫れたり、盛り上がったりすれば、

その物質に対してアレルギー反応を起こす可能性がある、というものですね。

 

なぜこんな反応が起こるかと言えば、

「アレルギーを起こす毒をその場所の皮膚に無理やりすりこんでいるから」

です。

 

もう少し正確に書くと、

「塗った場所の皮膚からその物質が体内に侵入して、

皮膚にいる免疫細胞がその物質を認識して、

これは寄生虫系の敵だと思って免疫反応を起こすからです。」

ってこう書くと読みとばす人の方が多いからなあ(笑)。

 

前にも書きましたが、皮膚には免疫細胞が常駐していて、

皮膚から入ってきた外敵を認識して免疫反応を起こします。

初めて入ってきた外敵への反応はそれなりですが、二度目以降は素早く激しく反応するようになります。

 

免疫記憶と呼ばれる仕組みですが、

一度ある病気にかかった人はその病気にかかりにくくなる仕組みですね。

予防注射(ワクチン)はまさしくこの仕組みをうまく利用して、病気にかかりにくくします。

 

ところが、何かの物質に対してアレルギーになっている人の場合、

その物質が体内に入ると、それを体外に出そうとして激しい排除反応が起きるのです。

 

実はもともと、この反応は寄生虫を排除するために我々の体で発達したTh2反応と呼ばれる免疫反応です。

アレルギーの原因物質を認識したら、「寄生虫が体に侵入してきた!」と認識して、排除する反応を起こします。

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花粉症になれば、涙を流し、くしゃみをして花粉を体外に洗い流そうとします。

アレルギーを起こす食べ物を食べると、下痢したりじんましんが出て、それを体外に出すと同時に、二度と食べないようにします。

ぜんそくの症状も、アレルゲンのハウスダストなどを体外に排出するために発生するメカニズムです。

 

パッチテストで塗ったところが腫れるのも、そのアレルギー反応です。

 

 

パッチテストで皮膚にアレルギー物質を刷り込むとそこに残る?

 

パッチテストではアレルギーを起こす物質を少量、強制的に皮膚にすりこみます。

だからその場所の免疫細胞は、「皮膚からアレルギー物質が入ってきた!」ということで、そこで排除しようとする免疫細胞を起こします。

それが、その場所が痒くなって腫れるという反応です。

 

ブヨや蚊やノミ、シラミなどの血を吸う虫に刺されたら痒いですよね。

海岸で小さなハエに刺されたら

それは免疫細胞が、かゆみ物質を放出するからなのですが、

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これによってあなたはそこに虫が食いついているのに気づくことができます。

で、無意識にポリポリかくことで寄生虫を物理的に排除できます。

 

また、免疫反応が放出するかゆみ物質には、寄生虫が吸い付いているのが辛くなる物質も含まれています。

これにより、寄生虫が吸うのをやめます、長時間吸血しにくくなるというメカニズムです。

 

卵アレルギーの人が、パッチテストで皮膚に卵を薄めた液をすりこむと、

皮膚の免疫系が

「あ!皮膚から寄生虫(実は卵の成分)が入ってきた!」

と、免疫反応を起こすのですが、ここでどうやら困ったことが起こります。

 

その場所の免疫システムが

「ここは寄生虫(実は卵の成分)が侵入しやすい場所に違いない、残留兵を配置しておこう。」

という勘違いを起こしてしまうことがあるようなのです。

 

その残留兵は、卵の成分に対して速攻で反応する兵士たちです。

 

 

刺青の色が残るのは皮膚にいるマクロファージがそこを動かないから

 

パッチテストしたがゆえに、そこに免疫細胞の一部が残留兵として常駐し、待機している事態が引き起こされるというわけです。

さて、ではそのパッチテストの場所に残る残留兵とは何者でしょうか?

 

これは研究論文が一つも出ていないので、あくまでも私の推測ですが、

マクロファージの一種ではないかと思います。

 

マクロファージというのは外敵や死細胞を食べて消化してしまうお掃除屋さん的な細胞です。

それだけでなく、抗原提示と言って、食べた外敵の断片を自分の表面に提示します。

「こんな奴が入ってきたよ、みんな注意してや!」

と、様々な免疫細胞に対して注意を促す役目も引き受けるのです。

(この抗原提示の主役は樹状細胞ですが、マクロファージも行います。)

 

このマクロファージは毒物や外敵を食べて、消化し終えたらやがて役目を終えて死ぬものが多いのですが、

ときどきすごく長生きのマクロファージがいます。

 

有名なものに、入れ墨の場所で刺青に使われた色素を食べてその皮膚に残留するメラノファージと呼ばれるものがあります。

彼らは、その場所でその色素を抱え込んだまま、死なずに何年も何十年も残留するのです。

だから刺青の色は消えないのです。

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もしも、パッチテストした場所のマクロファージがパッチテストしたアレルギー物質を抱え込んだままその場所に何年も残留したとしたら?

おわかりですよね。

その場所で真っ先にアレルギー反応が起こるというわけです。

 

アレルギーがある人は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を飲食したり吸い込むとじんましんが起こるわけですよね。

パッチテストした場所には抗原を提示する残留マクロファージがいるから、他の場所よりもその反応が出やすくなっているという可能性があるわけです。

ほんのちょっとアレルゲンを吸い込んだだけでそこだけが腫れる、というわけです。

 

 

パッチテストはした方がいいのかするべきではないのか?

 

パッチテストの場所が後からすぐ腫れるのはじんましんと同じメカニズム。

だけど、その場所でだけ、その反応が起こりやすくなっている。

全身には蕁麻疹が出ない量でも、わずかにアレルゲンに接触するとそこだけが腫れる、というわけです。

 

これ、めんどくさいけど、便利でもあります。

 

だって、じんましんやくしゃみは出なくても、そこが腫れたら、

その場所にはアレルゲンがある(ハウスダストなど)、

あるいは食べているものや、化粧品にアレルゲンが入っている、

ということがいち早くわかるわけですから。

 

パッチテストした場所が鋭敏なアレルゲンセンサーになっていると思えばいいわけです。

以前に書いたこの記事も同じことで

同じ場所に蚊に刺されたようなふくらみが

これは、あなたの体がアレルゲンを感じ取っている現象である可能性があります。

 

たとえば、特定の部屋に行けばそのふくらみが出る場合、

その部屋のハウスダストがアレルゲンである可能性があります。

「彼の部屋に行くといつもこの痒みが出るんだよなあ。」という人

お掃除屋さんに彼の部屋を掃除してもらいましょう。
(自分でやるのは危険です)

 

この化粧品を使うといつも同じ場所が腫れるんだよなあという人

髪を染めるといつも同じ場所が腫れるんだよなあという人

それらの化粧品や髪染め液を使うのはやめましょう。

 

だから、パッチテストは少ない回数であれば、テストしておいて損はないと思います。

仮にその場所に痒いふくらみが出ても、それを有効利用しちゃいましょう。

 

その部分の腫れと痒み自体は放置でかまいません。

どうしてもかゆければ、虫刺されの時に塗る痒み止めを塗ってください。

 

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