この症状は何の始まり?中年医師のウェブ手帳

気になるその症状で何が考えられ、どうしたらいいかの覚え書き。専門は産婦人科・内科・アレルギー科です。

風邪をひくと歯が痛い、特に上の奥歯の場合の原因と対処方法

   

風邪をひいたときに歯が痛くなる人がいます。

風邪症状と同時か、しばらくして主に上の奥歯の付け根がずきずきし始めるというものです。

歯が痛くなって、あれ、風邪引いたかなと気づく人もいますよね。

 

風邪なのにどうして歯が痛くなるのか?

 

その理由と対処方法について書いておきます。

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風邪をひくと歯が痛いのは副鼻腔の炎症が歯根を刺激するから

 

風邪をひいている状態というのは、風邪ウイルスが鼻腔や喉の粘膜に感染して粘膜を破壊し、炎症を起こしている状態です。

ウイルス感染で死んだ粘膜細胞成分から放出される様々な成分が炎症を引き起こすのですが、この時にカリクレインという物質もできます。

 

このカリクレインは血液の中の成分を分解してブラジキニンという痛み物質を作ります。

風邪をひいて副鼻腔の上顎洞というところの粘膜がやられると、その粘膜の周囲にはブラジキニンという痛み物質がたくさんできます。

 

このブラジキニンが、すぐそばにある上あごの奥歯の根っこ(歯根)付近まで届きます。

これにより、上の奥歯の根っこがずきずきとする痛みを感じるというわけです。

 

基本的にはロキソニンやセデスといった痛み止めで痛みを抑えることができます。

熱が出ていなくても、飲んでください。

 

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ただし、風邪をひいても歯が痛くなる人とならない人がいますし、

同じ人が風邪を引いた場合も、歯が痛くなる時とそうでないときがありますよね。

どうして個人差があったり、風邪を引いたときで差があるのでしょうか?

 

 

風邪をひくと痛くなる歯の歯根には慢性炎症が起こっているかもしれない

 

最近の歯科治療では抜歯しませんよね。

できるだけ歯根を残して、それを土台にしてかぶせものをしようとします。

その方が健康に良いし、土台が残っている方が他の歯にも良い影響を与えるからです。

 

でも、その土台になる歯根の部分に感染が起こっている場合、これを取り除いてからかぶせものをする必要があります。

これを根治と言います.

削った歯の奥に抗菌剤を埋め込み、抗生物質を飲んで、歯根の痛みがなくなるまでしばらく通院する必要があります。

 

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歯根治療しますと言われて何度も通院しては詰め物を交換させられた経験のある人はいらっしゃると思います。

めんどくさいし時間がかかいますよねえ。

 

免疫力が普通の方の場合、歯根に感染が起こっていてもほとんど症状を感じないことがあります。

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歯の表面の小さな穴から虫歯が進行して、歯根部分に慢性炎症が起こっている場合、ふだんは痛みが抑え込まれていて、まったく気がついていないことが多いのです。

だから放置していても、元気な時には平気なんです。

 

でも、風邪をひいて痛みを感じる場合には、歯根に細菌が居ついていて慢性炎症が起こっているというわけです。

 

 

歯根の感染が白血球を活性化してるから風邪で痛みを感じる

 

なぜ歯根に感染が起こっていると、副鼻腔で増えるブラジキニンの痛み作用を強く感じるのでしょうか?

それは、白血球が作る炎症物質であるプロスタグランジンの作用によります。

 

組織が破壊されたり、細菌感染が起こるとそれを修復したり、細菌をやっつけるためにその場所に白血球が集まってきます。

集まってきた単球やマクロファージと言った白血球は、そこでプロスタグランジンという痛み物質を作り出すのに必要な酵素をどんどん作りだします。

 

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プロスタグランジンはその場所に炎症反応を引き起こし、その場所で発熱や浮腫を引き起こし、その力で細菌をやっつけようとします。

ところがこのプロスタグランジンはブラジキニンの効きを10倍ほど強めるという作用も持っています。

白血球が活性化されてプロスタグランジンが作られている場所では、ブラジキニンによる痛みも10倍増で感じるわけです。

 

慢性炎症が起こっている歯根には常に白血球がいて、細菌と戦っています。

このため、この場所のプロスタグランジン濃度は常に高くなっていて、そこでブラジキニン濃度が上がるとめちゃめちゃ痛くなる、というわけです。

 

 

風邪をひくと歯が痛くなる人は歯医者さんで診察をしましょう

 

風邪をひくと歯が痛くなる人では、歯の表面には虫歯が見えなくても、深い歯根に細菌感染があり、慢性炎症が起こっている可能性があります。

これをなんとかしないと風邪をひくと歯が痛くてもだえ苦しむことを繰り返します。

 

また、風邪をひいても歯が痛くなる時とそうでないときがある場合、それは上顎洞の粘膜に風邪ウイルスが感染したかそうでないかの違いです。

でも、これはウイルスの好み(鼻粘膜より喉の粘膜が好き)次第なので、運が良ければ痛くならないというだけの話です。

 

風邪をひいて上の奥歯がずきずきと痛んだ経験のある方は、

早めに歯医者さんに行って診断してもらい、治療について相談することをお勧めします。

いえ、痛いときに行く必要はありません、痛みが消えてから診てもらいましょう。

 

歯の表面には小さな黒い点がぽつんとあるだけだけれども、中には大きな空洞ができているような虫歯の場合、

すごく硬いものを噛んだ時にいきなり割れることもあります。

 

そうなってからの治療は厄介ですよ。

早めの診断をして、どんな治療がいいかを相談してみてください。

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 - 体の痛み

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