この症状は何の始まり?中年医師のウェブ手帳

気になるその症状で何が考えられ、どうしたらいいかの覚え書き。専門は産婦人科・内科・アレルギー科です。

蚊に刺されて熱が出た デング熱の初期症状と夏風邪の見分け方

   

 

デング熱の感染者が出たのは2014年の8月末、日本国内では数十年ぶりのことでした。

感染源はわからないままですが、感染場所は主に新宿の代々木公園でした。

 

デング熱感染が再び日本国内で起こるのか?

起こるとしたらいつごろで、何に注意すればいいのか?

もしかしてデング熱かなと思った時の見分け方も含めて記載しておきます。

 

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デング熱の潜伏期間は数日から二週間、初発症状は急な発熱が多い

 

デング熱は東南アジアではふつうに見られる感染症です。

潜伏期は個人差が大きくて、蚊に刺されてから数日間から二週間程度です。

ほとんどの日本人の場合、初期症状は急な発熱、それも38度台後半から40度近い高い熱が出る場合が多いです。

 

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でも、東南アジアなどの流行地では特に怖がられている病気ではありません。

流行地のネッタイシマカやハマダラカの多くが雨期には常時感染して、ウイルスを媒介していますから、子供のうちに数度は感染するわけです。

大人になったころにはけっこう免疫がついていて、蚊に刺されてもほとんどウイルスが増えずに、症状が出ないことが多いようです。

 

日本人でも、何度も流行地に渡航して過去にデング熱を経験している人では蚊に刺されても発症しないか、ごく軽症で終わることが多いようです。

2014年に代々木公園のハマダラカにデング熱ウイルスを感染させたのも、軽症の人か、もしくは潜伏期間の発症直前の人だったのではないかと考えられます。

東南アジアやアフリカとの人の行き来は年々活発になっていますので、そういう人が国内で感染源になる可能性は増え続けています。

 

これはつまり、2015年以降も日本国内でデング熱が流行する可能性があることを示しています。

 

 

デング熱を疑うのは海外渡航歴と蚊刺されと発熱と風邪症状の有無

 

デング熱はかなり高熱が出たり、発疹が出たりするけっこうきつい感染症です。

ですが、初期症状の時にはほかのウイルス感染症、いわゆる風邪と見分けがつきません。

普通のアデノウイルスやライノウイルスの感染症でも初発症状が38度台の熱であることはあります。

 

デング熱か夏風邪なのかを見分けるために重要なのは次の5項目です。

 

1.東南アジアやアフリカなどの流行地への海外渡航歴があるか

2.家族や身近な人にそういう海外旅行からの帰国者がいるか

3.最近、蚊に刺された記憶があるか

4.発熱は急で高いか(38度台後半以上の熱が急に出たかどうか)

5.鼻の奥の痛みやのどの痛みなどの気道症状があるか

 

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1番目から3番目までは患者さん自身が医者に告げなければ医者の方ではわかりません。

でも、デング熱を疑う大事なポイントです。

ガーデニングやアウトドアが趣味の人は毎日のように蚊に刺されているかもしれませんけど、一応、症状が出る数日前から二週間前に蚊に刺されたかどうかは伝えてください。

 

4番目は医療者側がデング熱を考慮する際の大事なポイントです。

生まれて初めて感染するウイルスへの感染症では、急な熱が出ることがしばしばあります。

デング熱も初感染の人の半分以上は高熱で苦しみます。

 

そして最後の5番目。

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デング熱ウイルスは、蚊が刺した場所にいるマクロファージや樹状細胞といった白血球に感染すると考えられています。

鼻粘膜や喉の気道上皮には感染しません。

ですから、鼻の奥が痛いとかのどが痛くて咳が出る、という場合には普通の風邪ウイルス感染を疑います。

デング熱感染の可能性は低くなります。

(可能性がゼロとは言えません、同時に感染したら両方の症状が出る可能性はあります。)

 

つまり、上記の1~3の項目のどれかに当てはまり、4があって5がなければ、

デング熱を疑って病院を受診してください。

 

 

デング熱感染の治療と予防、重症化した場合の問題点

 

デング熱ウイルスの増幅を抑える薬

 

残念ながらまだありません。

 

インフルエンザウイルス、エイズウイルスやエボラウイルスは抗ウイルス薬の開発が一気に進んでいます。

ですが、あれは致死率が高い疾患だから世界中の国や企業が巨額の投資を行うことで達成できたことです。

 

デング熱ウイルスに効く薬はまだないのですから、

熱が出たら冷やすなどして物理的に下げる

皮膚の痛みが強ければ鎮痛消炎剤を投与する

安静にして補液して体力の回復を手伝う

という、ごく普通の対症療法が治療の中心になります。

 

 

デング熱ウイルスの予防のためのワクチン

 

これもまだできていません。

 

東南アジアやアフリカの風土病であり、温帯に位置する先進国では感染者が少ない

死ぬほど重症化することはそれほど多くない

流行国である発展途上国ではそれ以前に解決すべき問題が多い

ということで、ワクチンはまだできあがっていないのです。

(徐々に進みつつありますが、予算が小さいのでスローペースです。)

 

スローペースでいいとみんなが判断している病気だというわけです。

ごくまれに重症化するけど、それはアンラッキー。

と、予算のない国ではそうなりますよね。

 

 

 

デング熱ウイルス感染症でまれに致死的な重症化が起こる

 

ごくまれに「デング出血熱」と呼ばれる、出血が止まらない状態に陥ることがあります。

ほとんどの場合、高熱が落ち着いてから点状出血などから始まります。

脳神経系での出血が先行する場合は気分不快や不安症状などが先行することもあります。

 

これはウイルス感染が重症化するというよりは、ウイルスに対する免疫反応が暴走して自らの組織を攻撃してしまうことも原因だと考えられています。

インフルエンザ脳症を引き起こす状態に似ています、サイトカインストームと呼ばれる状態ですね。

 

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この場合はすぐに集中治療室で治療を受けないとかなり高い割合で命を落とします。

そして、起こる可能性があることを知っておかないと対処が間に合いません。

その意味でも、医療側として、急な発熱の患者さんがデング熱感染者なのかどうかを把握しておくのは重要なことなのです。

 

 

 

デング熱かなと思った時の症状などの注意点のまとめ

 

デング熱に感染しても、高熱が出た後は自然に治るケースがほとんどです。

命にかかわる重症化は、まれにしか起こりません。

でも、起こる可能性があることを知っておかないと対処が間に合いません。

だから、デング熱を疑ったら病院に行って診断してもらうことはとても重要なのです。

 

その意味で、

 

デング熱の流行する海外に行ったか?

最近、流行地や日本で蚊に刺された記憶があるか?

急な発熱があったか?

のどや鼻などの症状はあったかなかったか?

 

といったチェックポイントはとても重要です。

心しておいてくださいね。

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 - 虫に刺された?

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