この症状は何の始まり?中年医師のウェブ手帳

気になるその症状で何が考えられ、どうしたらいいかの覚え書き。専門は産婦人科・内科・アレルギー科です。

日焼けの水ぶくれはつぶす?つぶれたらワセリンでは治らない?

      2015/08/03

日焼けの痛みについては

ワセリンを塗ってラップをすれば痛みが引くことを書きました。

⇒ 日焼けの痛みにはワセリン+サランラップ

 

でも、それはちょっと赤くなってひりひりした程度の日焼けまで。

 

日焼けで真っ赤になってずきずきしたり、

水ぶくれがたくさんできた日焼けはどうすればいいのか?

そもそも、水ぶくれってつぶすべきかつぶさないべきか?

 

それに関する覚え書きです。

 

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日焼けややけどで水ぶくれができたら破ってはいけないのは過去の常識

 

昔から言われてきたことに、日焼けややけどでできた水ぶくれは破ってはいけない、というのがあります。

なぜなら、水ぶくれを破ると、水ぶくれの下の皮膚に簡単に細菌がくっつくので、そこで化膿したり炎症をおこしたりするから危険だというものです。

水ぶくれを破らないで、我慢していたら2週間程度で水ぶくれは吸収されてきれいに治りますよ、というものですね。

 

これは、90%は正しいのですが、10%程度の症例では、

破ってない水ぶくれの中でも細菌が増えて、かえって傷が悪化するケースがある

ということが最近、見えてきました。

このことから、必ずしも守るべきルールではないと、最近は考えられ始めています。

湿潤療法と傷の管理がきちんとできるのであれば、破って水疱の膜を切り取ってしまった方がきれいに治る確率が高いのです。

 

ということで、どうすればいいかの結論だけを先に書いてしまえば、

日焼けでできた水疱は、

まずは表面を水道水でよく洗って汚れやサンオイルを取り除いてから

 

1.小さいものがたくさんできれいに切り取れる自信がなければ、つぶさずにワセリンとサランラップでおおう

2.1㎝以上ある水疱で、液体もたくさんたまっていて寝ている間につぶれてしまいそうな水疱なら液体を出して、膜を切り取ってワセリン+ラップ、できれば湿潤療法用の絆創膏で覆う(プラスモイストなど)

3.5㎝以上ある大きな水ぶくれが複数、あるいは10㎝以上ある水ぶくれ(日焼けではめったにできませんが)ができたら皮膚科を受診

4.知らないうちに水疱が破れていたら皮膚科を受診

 

という判断でよいと思います。

はさみは普通のハサミで構いません、気になるならハサミの切る部分を熱湯で消毒してから、水道水でよく洗ってから使ってください。

(ハサミの熱湯消毒で火傷をしては本末転倒ですから、なべつかみやトングを使うなど、注意してね。)

 

一晩たって、あるいは2,3日以内に水疱のあった部分や日焼けの部分が赤くなり、熱を持ってくるようであれば運悪く細菌感染が防げなかったことになります。

この場合は、皮膚科を受診してください。

 

ただし上に書いた処置は、水ぶくれができた火傷がどの程度の深さの火傷であるかにも左右されます。

日焼けの水ぶくれはすべて上の処置で大丈夫ですが、それ以外の熱いものに接してできた火傷の場合には、次の章を読んでから対応を考えてください。

 

 

水疱ができた火傷でも傷の深さによってすべき対応は変わる

 

火傷はその深さによって傷害を受ける組織が変わります。

例えば日焼けの場合は、水疱ができるようなひどい日焼けでも表皮までしか影響を受けないことがほとんどですが、

熱湯や熱いものに触れてできた火傷の場合、水疱の下のあるいは近辺の皮膚はもっと深くやられていることがあります。

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Burn Degree Diagram” by The original uploader was K. Aainsqatsi at English Wikipedia(Original text: K. Aainsqatsi) – Transferred fromツꀀen.wikipediaツꀀto Commons.(Original text: self-made). Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.

 

上の図にあるSecond Degree Burn、II度熱傷で水ぶくれはできますが、

表皮(Epidermis)までの浅いII度熱傷と、真皮(Dermis)までやられる深いII度熱傷があり、後者の場合は皮膚科できちんと見てもらう方がよいです。

感染症が起こる可能性があるので抗生剤の飲み薬を処方してもらう方が安心。

自分で処置して何とかなるのは浅いII度熱傷まで、そして日焼けの場合は浅いの確定なので、自分で処置しても問題ないのです。

 

もちろん、深いII度以上のひどいやけどは救急外来受診も辞さないで病院で見てもらいましょう。

ともかく早く処置することが大切です。

 

日焼けや火傷の水疱を破らなくても感染することがあるのはなぜか?

 

日焼けや火傷でできた水疱の一部は破らなくても細菌が感染することがあると書きました。

そうなると痛みは強いし、後は残るし、治りも悪い。

下手すると敗血症などの重大な病気につながることがあります。

 

でも、水疱が破れていないのにどうして細菌がそこで増えるのでしょうか?

その場合は、もともと深いところに細菌がいた可能性が考えられます。

310px-Hair_follicle-en.svg

表皮組織というのは、体の表面を覆うだけでなく、毛の袋である毛嚢や、そこに開口している皮脂腺とつながっています。

ですから、もしも皮脂腺にばい菌が住み着いている毛嚢があるところで水疱になったら?

わかりますよね、皮脂腺の黴菌が表皮の中にできた水疱の中に移動していく可能性があります。

 

これは毛嚢炎でなくても、虫に刺されたとか、小さな傷があったとかいう場合でも同じです。

治りかけている傷なので、表皮にカバーされて水疱はできるものの、その下の毛嚢や皮脂腺にいたばい菌が閉じ込められる結果になります。

水疱の中の浸出液はばい菌にとってみれば最高の増殖環境ですから、大喜びで増えます。

 

ということで、日焼けで水疱ができた場合、

その場所に

小さな傷があった、最近虫に刺された場所だった、ニキビが多い背中の部分だった

などという場合には、

 

水疱を破って膜を取り去り、きれいに水道水で洗ってから

ワセリン+ラップをするか、

プラスモイストや傷パワーパッドで湿潤療法をする

 

その方が、水疱を破らずに我慢するよりも良い結果を得られやすい

ということになります。

 

気軽に行けるお医者さんが近所にいるのなら、そちらにとっとと行くのがいいとは思いますけどね。

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